京都 山科 みささぎの森 里山くらぶブログ

京都市山科区 琵琶湖疎水が流れる「みささぎの森」の里山を作る活動をするスタッフブログ

小鹿が琵琶湖疎水に落ちた!救助した、その後は

   

2021年の12月はじめの頃、京都市山科区を流れる「琵琶湖疎水」で溺れている小鹿をジョギング中の人が発見し、そのうち2人の男性が折からの寒さにもかかわらず、疎水に入って小鹿を救助しました。

場所は私達ボランティア団体が運営する「みささぎの森」の目の前。

これは知らん顔しているわけにはいかないと、男性が助けた小鹿を介抱し始めました。ここまでの経緯を以下の動画に記録しましたので、まずはご覧ください。

小鹿は水の中から陸に引き上げられるまでは元気無さそうなものの、首を立てて目もちゃんと開いていました。

とにかく鹿の体を焚き火で温めて濡れた体の水をタオルで拭きとってあげたら元の元気だっただろう小鹿に戻るかと思ったのですが、焚き火の前では目を閉じたまま、ときどき小さな鳴き声を出すだけでした。

いったいいつになったら元気出るのだろう??

よく見ると後ろ足の蹄に怪我をしていて血が出ています。おそらく疎水に落ちてから何度も必死に丘に上がろうともがいたのでしょう。とりあえす人間の切り傷用消毒スプレーをかけました。

でもこの先どうすればいいのか分かりません。

獣医に診せたら? でも野生動物は街の獣医が診るだろうか?

動物園に電話して尋ねたらどうだろう? 電話しました。すると、野生の鹿は救助したら近くの草むらにそのまま置いておくべき、と言われました。実際上そうするしかできませんと。

そんな状態で約1時間が経過。小鹿は元気になる気配がありません。

もう打つ手が無くなってしまいました。

更にもう1時間が経過して、鹿の容態はどうも悪い方に向かっている気配がしてきました。首が立たずに脚をときどきバタつかせています。苦しんでいるように見えます。

これでは可哀想だから、いっそ安楽死の方が良いのではないかという声も仲間内から出ました。しかし素人が安楽死はできません。まず日本ではドブネズミやクマネズミ以外の哺乳類を殺傷すると法律によって罰せられます。だから狩猟などの資格を持った人が適切に行わなければいけません。でも果たしてそれがこの怪我した小鹿の「安楽死」になるのかどうか?

もしこのまま介抱して元気を取り戻したとして、その先どうしたら良いのでしょう?こんな疑問も湧いてきました。もし元気になった小鹿が介抱した人々に懐いてしまったら・・・それはそれで問題です。この地域は従来から野生の鹿害に悩まされています。そんな中で鹿を懐かせたら、どんだけドひんしゅくを負うことか。

でもどうすることもできず、とりあえすこの日は動物園の人が言うように、みささぎの森の中の草地に体が乾いた頃を見計らって「置く」ことにしました。

スヤスヤ眠っているように映っていますが、そうではありません。グッタリしているのです。

このあと数日に亘ってこの小鹿をめぐってボランティア仲間内でいろいろな意見がLINE上で行われました。その一部を記録として以下にメモします。

ジョギング中のお兄さん達に助けてもらったんだけど…
体は焚き火で乾かしたけどだいぶ冷えてるみたいでまだ一人で起きられないから、助からないかも😢

12/5

今調べたら、京都市の鹿は、怪我していても、
鳥獣保護センターではみてもらえないんですね。
野生動物は半日で回復する、
とか書かれているけど、
大事な1日ですね。

12/5

鹿さん、具合どうですか?
散歩ついでに様子みてもよいですか?

————–

首から下は元気なのに、首が自分で動かせない?
でも、首の骨折れてたら生きてないですよね。

12/6

今日はまだ、見に行ってないけど、夕べ大きな声で啼いていた。
お母さんを呼んでいたのかも…
その後全く声聞こえなくなったのでもう、……かも
もう少し後で様子を見に行ってみます。

12/6

まだ生きています。
姿勢なおしたら、寝た。
人間の子どもみたいな声

12/6

首に力が入らず立ち上がれないようですが、体温も元気もあるので、
死ぬには時間かかりますね。
泥が目に入ってもまぶた閉じられないようです。

12/6

右側から首を支えたら、身体を起こすことができて、少し落ち着きました。
横たわった姿勢だと苦しいので、もがいて足が擦り傷だらけになるようです。
雨降ってきましたね。

12/6

毛布で右側を支えて、雨よけになるようシートで半分覆いました。

12/6

首の力の入らなさが尋常じゃないですよね。
異様に不自然な曲がり方する。

12/6

とても気になるけど、静観するのがいいと思います。
おそらく回復は無理ではないのかな。

12/6

それなら安楽死させてあげたい…
どこかやってくれるところはないかな?

12/6

今置かれている獣害柵の扉のすぐ外で雨ざらし、よりは、
安らかに眠れる場所に移動する訳にはいかないのですか?
敷地外だと、遺体になってからも処理の手続きがかえって面倒では?

12/6

つかのまの出会いですね。
甘え声になっていてかわいいですよね。

12/6

皆さんは傷ついた野生動物とか見ても絶対保護しないように!
昨日は成り行きで敷地内に入れてしまったけど…
なんかあっても絶対連れて来ないでね

12/6

そうだな。
昨日は目の前で疎水に飛び込んで鹿を救助した近隣の人がいたからこうなってしまったけど、遊歩道際に動物を置いておくようにした方が後の問題が無かったかもしれないですね。

12/6

昨日は、この寒空、疎水に入った人に暖を提供する、
という大事なお役目が、みささぎの森にあったと思います。
鹿というより、鹿を救出せずにいられなかった方への
心のケアのために、鹿を引き受ける必要があったな、と。

12/6

そうです、あとのことまで考えてる余裕はなかった…
仕方ないです😵

12/6

当方、10年以上も前から疏水べり遊歩道の未明散歩を続けいますが、最近は野生動物( 特に鹿)との遭遇が増えています。先日は町内でうろついていました。鹿が疏水べりの安全柵に頭を突っ込で抜けられずにもがいている鹿を見かけることも増えています。
以前は人間と野生動物とは賢く「棲み分け」ていたのですが、最近は境界がぼやけてきたようです。やがて原初の「人獣共生社会」に戻って行くことになるのではないでしょうか。

12/7

ちゃんと共生しないといけないのでしょうが…
人間は自分達中心の社会を築くことしか頭にないと思います。
疏水だって人間の生活のために作った訳ですから
動物にとったらいい迷惑ですよね~
みささぎの森はなんとか頑張ってバッファゾーンとして残して行きましょう。

12/7

いっそ、京都市が、疎水遊歩道の鹿に関しては奈良にならってくれたらいいのに、と
個人的には思ったりしますが。

その方が、遊覧船儲かるんじゃないか、、、

鹿が多い方が楽しいけど、
しょっちゅう溺れていたり、
柵に頭挟まったりしていたらいやですよね。

奈良では、鹿が下草を食べることで、森や公園が守られているのですよね。
鹿のせいで森林が、、、というのは、何かの計算間違いではないか、
不自然な植林後の間伐を徹底していない人工林の場合だからそうなるのではないか、、、、

共生可能な森の設計、、、。
したいです。

鹿は、人を呼ぶのは間違いない。
もし、みささぎの森に、人になれた鹿が一頭いたら、
畑のサツマイモよりは、子どもを呼べますね。

12/7

皆様、色々お疲れ様です。山には何十万という鹿が食べ物を求めて山を駆け巡っているんですね。人間のエゴで駆除すると言うことになり、苦肉の策でジビエ料理を作り、柵を作り、なんとか共存していると言うことですか?人間は増えすぎて、人間同士でもめ、色々考えさせられます、飛躍しすぎました。昔、山科は天智天皇の鹿狩り場だったとか、1000年も昔のことなのに、今も動物との共存は難しいですね。先日の森林研修でも色々考えさせられました。

12/7

今、鹿ちゃん確認してきました。
もう瀕死の状態ですが、まだ息しています。
毛布と雨除けはしてきましたが、時間の問題でしょう。
ここに移り住んでから山や庭で色々な野生動物の死を見てきました。
フクロウ、タヌキ、ヤマガラ、モズ、モグラ、ネズミ等々。
大抵は死骸か瀕死の状態。
でも、もしかしたら救えるかもしれないというのは初めてで、それを看取らなければならない、というのも初めてです。
こんな事になったのは何が原因なのでしょう?
人間?
複雑な気持ちです😰
今回は本当に考えさせられました。

12/7

“生と死” 「一度この世に生を受け滅せぬもののあらざるや」生けるもの全てにおいて遅かれ早かれ死が訪れます。
奈良の大台、正木ガ原の鹿も、手厚く保護されている奈良公園の鹿も、いずれは死にます。
死を拒絶することはできません。
鹿の寿命と割りきるより他有りません。
悲しいですね。

つぶらな瞳を見ていると、昨年旅立った我が家の愛犬を思い出します。

冷たい雨が降っています。
鹿が泣いています。
つらいです。

今は、静かに弔ってやりましょう!

12/7

ちょっと遅れ馳せですが、鹿の保護司さんされてる方とコンタクトが取れそうです。
鹿ちゃん、まだ暴れる元気があって、娘が扉の所じゃかわいそうだと言うので入り口の屋根の下に移しました。
保護司さんが来てくれるようなら連れて帰ってくれるかもしれないので、
明日の集合はちょっと待ってください。
また連絡するのでしばらくお待ちください。

12/7

鹿の保護司さんていらっしゃるんですね🤭

12/8

先ほど農林企画課の方から保護団体の方に連絡取れたので10:30頃にこちらに来て貰えることになりました。
鹿ちゃんはまだ生きています。野生動物の生命力に驚いています。
でももう無理という判断があれば安楽死という選択になるということです。おそらくそうなるでしょう。
山に埋葬するかどうかも適切なのか相談しますので決まったらまたお知らせします。

12/8

今、農林企画課の方と保護団体の方が来て鹿ちゃんを連れて行ってくれました。
もう殆ど目も見えてない状態で、回復は難しいだろうと😢
でも、実は母鹿ともう1頭も一緒に流されていてその2匹は死んでしまったらしく逆にお母さんの側に行けて幸せになるかもしれません😢
一体何が原因でこんな事になってしまったんでしょう?
元々野生動物のすみかだった所に自分達の欲望のためにはいりこんだ、それはやはり人間のせいでしょうか…
今回のことを踏まえて改めてもっと何かできないか考えてみたいと思いす。
SNSで拡散して賛同してくださった人の心に何か残すことができていれば少しは良かったかな?
とにかく、今回の件はこれで終了しました。
ご心配いただいた皆様ありがとうございました。

12/8

鹿ちゃんの死を無駄にしないよう私達も考えないといけない時期でしょうか🥺
環境は違えど奈良の鹿は保護されていて怪我したら収容して治療する団体もあり、増え過ぎたらどうしているのか興味あります。

12/8

ほんとうに連日連夜心を尽くされ、
おつかれさまでした。私が朝みにいった時は
湯たんぽや毛布にしっかりくるんでもらって、
毛もかわいて、
蹄の血も止まって、
きれいでした。
甘え声になっていて、
人の優しさは伝わったと思います。
暴れるというより、
うーん、と人間の子どものような声で踏ん張って立ち上がろうとしていました。
きもちは前向きなまま
元気にあの世に旅立って、
おかあさんに、よく頑張った、と迎えもらっているでしょう。北海道に、怪我をした野生動物を保護、治療して、
また野生に戻す、という活動をしている獣医さんがいます。そこまででなくても、
人間でも、ターミナルケアというのはあるし。今回の鹿は、
一燈園のところで親子で落ちて流されてきた、
とのことで、
多くの人々が心動かされていたようです。
子どもだけ助けるのは、ことりといって一番あかん、
母親がいたら舐めてなんとかする、
と言われました。鹿にとってどうかというより、
ともかく、母親求めて鳴く鹿の声は、
人間の心がやられますね。

12/8

一部LINEからの引用表示が切れてしまいましたが、上述一連は生々しいLINEでの意見交換の記録の一部です(個人情報部分は引用から削除しました)

この先、また似たようなことが起きるとも限りません。

そのときまた葛藤が生まれてしまうのでしょうか。

 - みささぎの森の生物